アユタヤ遺跡に見る、代表的なタイ仏教の神様『ガネーシャ』『ナーガ・ナーク』『ガルーダ』『チンナラート』『ブラフマー』『ヴィシュヌ』『ハヌマーン』について調べてみました。

アユタヤ遺跡に見る、代表的なタイ仏教の神様

アユタヤ王朝の遺跡群の総称であるアユタヤ遺跡には、タイにおける仏教の代表的な神々の在り方を見出すことができます。周辺の遺跡とともにユネスコの世界遺産に登録されています。

さて、タイにおける仏教は、どのように興隆したのでしょうか?その謎を解くカギが、神々の発祥に秘められています。タイの仏教は、スリランカ、ビルマ、カンボジア、ラオスを経由して伝来した「上座部仏教」であり、日本における「大乗仏」とは経由地が大きく異なります。それでは、タイの仏教における代表的な神々について、説明していきます。

ガネーシャ

ガネーシャ アユタヤ遺跡に見る、代表的なタイ仏教の神様

日本においては、水野敬也氏のベストセラー作品の一つ『夢を見るゾウ』でも有名になりました「ガネーシャ」です。ガネーシャといえば、本来はヒンドゥー教の神様として有名なので、ガネーシャ=ヒンドゥー教の神様=インドの宗教というイメージを持っている人は少なくないでしょう。

しかし、東南アジアでは古来よりインドと盛んに交易を行っていた歴史があり、その影響でインド文化が色濃く残っています。そのため、ガネーシャのようなヒンドゥーの神々や、ヒンドゥー教に関連する寺院を公共の場で見かけるのは珍しくありません。タイの文化は、仏教とヒンドゥー教が混同している文化のため、仏教徒であるタイ人もこうしたヒンドゥー教に関わる参拝所でお祈りしている姿を頻繁に見かけます。

バンコクの東隣チャチュンサオ県に位置する「ワット・サマーンラッターナーラーム(Wat Saman Rattanaram)」というお寺にはピンク色のガネーシャの巨像があります。

印象深い巨大な全長、そして神様という概念が醸し出す堅苦しさを感じさせないような優しいピンク色の像です。その上、「願い事を通常の数倍のスピードで叶えてくれる」という明快なご利益が話題を呼び、その霊験にあやかろうとタイ人のみならず海外からの観光客にも人気を博しています。首都バンコクからも1時間半でアクセスできることから、パワースポット巡りが趣味の方などにおすすめです。参拝して、願掛けをしに行ってみませんか?

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ナーガ

ナーガ アユタヤ遺跡に見る、代表的なタイ仏教の神様

ナーガ・ナークは、東南アジアの信仰によると、偉大さの象徴、豊かさ、優位性としての紋章を持つ大きな蛇の姿をした水を司る神様です。宇宙に繋がる虹の階段を模している、とも言われています。また、ナーガ・ナークは南インド発祥の神様だそうで、南インドの現地人の方々は、一種の動物として蛇を大切にしているようです。アジアの各地には、蛇を信奉する風習が根付いておりますが、ナーガ・ナークもその一形態と言えそうです。

ナーガ・ナークを祀る観光地は、バンファイ・パヤナーク(龍神の火の玉祭り)という特殊な自然現象に肖るノーンカーイ県メコン川沿いの観光地が有名です。また、歴史的に見ても、タイ族がシャムに覇権を確立する前からナーガは仏陀を守る神聖な生き物として崇拝されてクメール寺院、神殿装飾にもたくさんの像を見ることができるので、ある意味では身近な神様と言えそうです。

ガルーダ

ガルーダ アユタヤ遺跡に見る、代表的なタイ仏教の神様

ヒンドゥー教の経典が、詳しくガルーダという神様の誕生を語っております。信仰を伴わない方々にとって、神話は単なるおとぎ話に過ぎませんが、ガルーダに関しては多くのタイ人との関係があります。その関係性は、ガルーダがタイ王のシンボルであり、国王を国家元首として立憲君主制を敷くタイの政治体制により育まれたものであるという話によります。

また、後述する「ヴィシュヌ」神とも深い関係性が有り、ガルーダは「ヴィシュヌ」神の乗り物だとされています。私たちにとって、最も身近に目にする「ガルーダ」は、タイ王国の国章のモチーフとしてのものです。正式にガルーダがモチーフになったシンボルが国章として認証されたのは1911年というわずか百年程前の話になりますが、現在では、翼を広げた勇壮な姿がタイ王室および政府の象徴として用いられています。

チンナラート

チンナラート アユタヤ遺跡に見る、代表的なタイ仏教の神様

「チンナラート」は、タイで最も美しい仏像と言われています。プラプッタチンナラートの安置されている仏像は、ピッサヌローク市内を流れるナーン川のほとりにあります。ワット・プラシー・ラッタナ・マハータート・ウォーラマハーウィーンというお寺の仏堂に安置されており、現地の方々の間では「大きいお寺」という意味の「ワット・ヤイ」の通称で親しまれています。

スコータイ時代の後期に造られました。日本が、ちょうど南北朝時代を迎えている頃の話になります。伝説では西暦1357年にインドラ神が人間に姿を変えて作ったと言われています。高さは約3.5m、幅2.9mあります。現在の黄金色に輝く仏像としてのお姿は、1603年アユタヤ朝のエーカートッサロット王の命によって、初めて金の塗装が施されたところから始まります。

その後、現在に至るまでに、ラーマ5世時代の1901年とプミポン前国王の時代の2004年の二回にわたり金塗装の塗り替えが行われております。地域の人々はもとよりタイ全土の多くの人から敬愛されているチンナラート仏は、歴代の国王や王族にも愛されてきた仏像です。一度、拝観されてみてはいかがでしょうか?

ヴィシュヌ

ヴィシュヌ アユタヤ遺跡に見る、代表的なタイ仏教の神様

先述の「ガルーダ」神に乗っている「ヴィシュヌ」神は、ブラフマー、シヴァと共に最高神の一つとしてヒンドゥー教のもとで崇拝されております。ヴィシュヌは、ほかの神様とちがって「化身(アヴァターラ)」をもっているとされています。つまり、神様であるヴィシュヌが、人々を救済するために 人間世界に生まれ変わって登場してくるって考え方です。これは、日本でいうところの、「現人神(あらひとがみ)」思想に近いと考えられます。

ラーマやクリシュナなども、その中の一人であり、仏教の創立者である仏陀も含まれております。あるときは女泣かせのプレイボーイとして俗世間に現れ、またあるときは大洪水から人々を救うお魚として俗世間に現れて、様々な姿に身を変えながらヴィシュヌは現世の人々と関わりをもって信仰を集めていった神様とされています。

ハヌマーン

ハヌマーン アユタヤ遺跡に見る、代表的なタイ仏教の神様

猿の神様であるハヌマーンは、もともとはインド神話におけるヴァナラ(猿族)の1人とされており、怪力と勇気、忠誠心や不死の神様としてインドでも強い人気を誇ります。 インド二大叙事詩「ラーマーヤナ」の物語の主役で、体の色が色白な猿の姿をした戦いの神様です。風神ヴァーユの化身であるとされ、ヴァーユが猿王ケーシャーリーの妻(アプサラスとする説もある)アンジャナーとの間にもうけた子とされています。

偶像化された神様としては、シヴァ、ガネーシャ、クリシュナと並ぶほどの人気があり、私たちの日常生活においては、三蔵法師を守って天竺を目指した孫悟空のルーツをハヌマーンに求める説もあります。このことから、孫悟空のモデルとしても有名です。御利益としては「勝利」が有名ですが、「友情」というものもあります。

まとめ

アユタヤ遺跡に見る、代表的なタイ仏教の神様

アユタヤ遺跡に見る、代表的なタイ仏教の神々について説明させていただきましたが、いかがでしたか?それぞれ個性的な神様ですから現地にお越しになる前に、少しでも知識があればより遺跡や寺院観光が面白くなるでしょう!

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