アンコール遺跡群の穴場スポット、王族の沐浴池「スラ・スラン」絶景の夕日が見られることで有名な遺跡の概要をご紹介します。

アンコール遺跡のひとつ、「バンテアイ・クデイ」の正面には大きな池があります。ここは「スラ・スラン」と呼ばれ、かつての王族の沐浴池でした。現在もスラ・スランは地域に根差した場所として、多くの地元の人々が避暑のために訪れています。

今回は、かのジャヤヴァルマン7世も見ていたと思われる美しい夕日を拝める王の沐浴場「スラ・スラン」遺跡のすべてをご紹介いたします。

スラ・スラン遺跡とは

アンコール遺跡群のひとつに数えられる「バンテアイ・クデイ」遺跡の正面にあり、東西約700m、南北約300mの巨大な池がスラ・スランです。スラ・スランは「ジャヤヴァルマン7世」が作った王のための沐浴池です。

ジャヤヴァルマン7世とはアンコール朝の王で、ガジュマルに侵食された遺跡として有名な「タ・プローム」などの建築に携わった人物とされています。スラ・スランは観光客や周りの障害物が少なく、カンボジアの朝日や夕日を静かに観賞できる隠れた観光スポットです。

スラ・スラン遺跡の歴史

スラ・スランの原型は10世紀ごろ「ラージェンドラヴァルマン2世」が掘った池です。この大池はラージェンドラヴァルマン2世が建てた僧院「クデイ」に関連した施設だったと言われています。

そして今のスラ・スランができたのは、12世紀ごろジャヤヴァルマン7世がバンテアイ・クデイの増改築とともに大池とともに整備した頃でした。バンテアイ・クデイとは、クデイの後に建てられた寺院です。大池の整備時には壁やテラス、池に下りるための階段、祠堂などが新しく作られたといいます。

スラ・スランは今も昔も憩いの場

スラ・スランは王のための沐浴池として作られましたが、本当に王だけが沐浴していたのでしょうか?スラ・スランには「象の水浴びを禁じる」という旨の碑文が残されています。王だけが入るとすれば、このような碑文は必要なかったでしょう。

この文言からスラ・スランは、王だけでなく一般市民など多くの人に解放されていたであろうことが伺えます。そして、現在も現地の人々が涼しさを求めて集まり、池で遊ぶ子供たちを大人たちが見守る穏やかな光景が見られます。時代は変わってもこの沐浴池は多くの人々が集まる憩いの場なのです。

スラ・スランの雄大な日の出と夕日

観光客でごった返すアンコールワットと違い、スラ・スランでは場所取りや時間の心配なくじっくり日の出や夕日を観賞することができます。

静かで幻想的な日の出は、遮る物の少ない開けた空に映え、特別な一日の始まりを演出してくれることでしょう。夕方になり、一日の最後に最大の輝きを見せる夕日が、水面に吸い込まれるように消えていく様子は圧巻です。

西から射し込める朝日の光に目を細めるもよし。

黄金に輝く夕日を厳かな気持ちで見送るもよし。

刻々と変わりゆく空の色を贅沢に楽しみましょう。

観光のおすすめポイント

朝日観賞におすすめのポイントは、西側のテラスです。傍らのシンハ(獅子)像と共に、心ゆくまで朝日を眺めてみてください。

夕日観賞は東の周壁がおすすめです。眼前に大きく映る夕日に圧倒されることでしょう。外周は30分ほどで周れますので、自分の気に入る場所を探して朝日や夕日を眺めてみてくださいね。

また、スラ・スランは周辺でガイドブックにも載っていないような遺跡や大規模な墓所が見つかるなど、あまり調査が進んでおらず、謎めいた場所です。レンタサイクルで、周辺の小さな遺跡を見ながら、どんな場所だったのか想像してみるのも面白いかもしれません。

観光の注意点

虫除けスプレーを忘れずに

水辺ということもあり、蚊が発生しやすいです。気がつけば標的にされ虫刺されだらけになってしまいますので、虫除けスプレーは必ず持って行きましょう。

遺跡探訪は足場に注意

スラ・スラン周辺の遺跡は保存状態により、足元が悪いところもみられます。無理に奥まで見に行こうとせず、危険を感じたらすぐに引き返してください。

人気が少ないので夜道に注意

夕日観賞を終えるころ、あたりはかなり暗くなります。観光客の少ない地域での単独行動は避け、できるだけ早めに帰るようにしましょう。

静かな日の光を楽しんで

観光スポットとしてはまだ知名度の低いスラ・スランですが、それだけに人混みを気にすることなく観光できると言えます。そして地元の人々によるカンボジアらしいのどかな風景を見られることもこのスラ・スランならではの魅力のひとつです。

ぜひ、スラ・スランで時間の流れを気にすることなくカンボジアの空を見上げてみてくださいね。

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