【歴史ロマン】ベトナムの世界遺産都市「ホイアン」は500年前に日本人街だった!?謎多き朱印船貿易時代の日本とベトナムの関わり、現代でも残る史跡をご紹介します。

ランタンの街として有名な世界遺産ホイアン。ベトナム戦争では攻撃を受けなかったため、当時の様子が現在まで残っているノスタルジックな街です。ホイアンは16世紀、国際貿易港として繁栄しました。ヨーロッパや中国、日本とも国交があり街は急速に発展。

そのなかでも、日本がホイアンと深く関わった証が現在も残されています。当時は日本人街もあったとされるホイアン。日本との関係と当時の様子がわかる史跡をご紹介します。歴史を知れば、観光巡りもより楽しくなりますよ。

朱印船貿易によって築かれたホイアンと日本の関係

ホイアンは16世紀後半に国際貿易港として発展しました。日本とより密な関係が保たれるようになったのは1601年です。当時、実質的にベトナムの南部を支配していた阮氏から、正式な国交を求めて、書簡が送られました。

これを機に、江戸幕府との取引が加速。江戸幕府からも朱印船を送り、多くの日本人がホイアンに移り住みました。そしてホイアンには日本人街が作られ、とても賑わっていたとされています。この朱印船貿易は約30年続きましたが、日本では鎖国が始まり往来がなくなりました。

日本人街のほかに中国人街も作られたホイアンですが、場所は定かではありません。一般的にはチャンフー通りを日本人街という意見が多いようです。当時の日本人が伝えた日本の建築技法伊勢うどんが、現在も受け継がれています。

日本との関わりがわかるホイアンの史跡

ホイアンはタイムスリップしたかのような街並みが魅力的な場所です。中国の影響を大きく受けたホイアンには、中国の名残が残る史跡がたくさん。そんな中でも、日本が関わった史跡も残っています。ホイアンの歴史を知る上でも大切な日本との友好を肌で感じてください。

友好の証として築かれた「来遠橋(日本橋)」

ホイアンの観光でも有名な来遠橋(日本橋)。一見すると中国風の橋に見えますが、日本人が建設したとされる橋です。長さ18mの小さな橋にはお寺もあります。お寺の中は、当時の様子がわかる写真が展示。さらにランタンも飾られており「ホイアン」と日本語で書かれたものもあります。

また橋の両端にある猿と犬の像にも注目してください。これは干支をあらわしています。申年に建設が始まり、戌年に完成しました。ここでも日本の文化を感じられますね。この来遠橋は、ベトナム紙幣の2万ドン札にも印刷されています。ベトナムと日本との友好が紙幣に載っているのはうれしいですね。

朱印船からの出土品も陳列してある「ホイアン歴史文化博物館」

ホイアンの歴史が学べる博物館です。建物は中国の手法を導入しており、随所に中国の技術が施されています。ホイアン歴史文化博物館では、貿易で沈没した船から交易品を展示。

その中には、江戸時代に流通していた寛永通宝も。説明にはしっかり「edo」の文字が載っています。ほかにも、日本人街から出土した伊万里焼も披露されています。日本が交易を行っていた証がホイアンの博物館で知れるのも不思議ですね。

日本とホイアンの関係をあらわした絵巻がある「貿易陶磁博物館」

民家を改装して作られた貿易陶磁博物館。ここは「海のシルクロード博物館」という愛称で親しまれています。博物館には沈没船が展示。ホイアンから30分ほどの場所にあるチャム島の海底で見つかりました。沈没船から見つかった発掘品も展示してあります。

交易が盛んだったホイアンのおもな輸出品は陶磁器です。ベトナムの陶磁器が世界に輸出した地図も、わかりやすく解説されています。日本人にとって興味深いのが絵巻です。日本とホイアンの国交が絵巻に残っているのでぜひ観賞してください。

日本の建築手法も導入された建物もおすすめ

ホイアンには、貿易で栄えた時代から使われている建物が多くあります。住居として使われていた建物には、ベトナム、中国のほかに日本の建築手法を導入したものもあり、見ごたえ抜群です。三カ国がうまく調和した建物を楽しんでください。

ホイアンで初の文化遺産となった「進記家(タンキーの家)」

約200年前に建てられた民家です。もともと中国出身の漁師の家でした。この当時は、中国や日本との国交が盛んだったホイアン。建設にも両国のいいとこ取りして造られています。

日本の構造でよく導入されたのが、柱や梁の置き方。進記家にも日本の建築手法が導入されていますので、注意深く見てください。ほかにも家具や調度品は中国の手法が採用されています。

スタッフの方に日本人であることを伝えたら、日本語版の説明書を渡してもらえます。説明を見ながら回っても20分ほどで回れますので、ホイアンの観光スポットに加えてもいいですね。

ベランダからの眺めが最高な「馮興家(フーンフンの家)」

来遠橋を渡ったそばにある馮興家。この民家は今も子孫が実際に暮らしており、観光客向けに一般公開されています。もともとは貿易商人の家だった馮興家には、中庭もあり財力があったことを物語っている家です。

馮興家では、屋根に日本建築が導入されました。といってもベトナムと中国を融合させた建築の手法です。当時の民家としては広々としています。一般公開されている民家の中では美観といわれているため、つねに観光客でいっぱいです。

ベランダからはホイアンの旧市街を一望。また鯉が装飾されているのも見ものです。鯉は三カ国にとって意味が違います。ベトナムは繁栄の意味、中国は幸運の意味、日本は権力の意味。それぞれの意味が相まって装飾されました。馮興家はお土産も販売しておりお茶も無料で飲めるので、ゆっくりできる場所です。

まとめ

ホイアンはベトナムの中でも人気の観光スポットです。古い街並みをゆっくり散策するだけでも楽しいですが、歴史をほんの少し知るだけでも見方がまったく変わってきます。鎖国が始まるまでは、盛んに行われていた日本との交易。日本が持ち込んだ調度品や建物の手法も楽しみながら観光してください。

またホイアン旧市街近くには、日本人墓地もあります。目立った墓地ではありませんが、日本人がこの地で生活していた証なので、時間がある方は墓地も訪れてみてください。上記で紹介したスポットを日本語の説明を聞きながら周るツアーもあるので是非チェックしてみてください。

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