人気急上昇の世界遺産チャンアンとは!その魅力、おすすめの小舟クルーズ、ハノイからの行き方について徹底解説!


ベトナムといえば、バイクと人でごちゃごちゃした喧騒の街を想像する方が多いと思います。

ここチャンアンはそれとは正反対の、静かでのんびりとした自然豊かな景観と、地面からニョッキっと生えた石灰岩が連なる、水墨画の中にいるような世界観を味わうことができる場所です。

今回は、近年人気急上昇している「世界遺産・チャンアン」について、徹底的に解説して行きます。

 

チャンアンとは?その概要と場所について


ハノイを中心とする紅河デルタ地方の南端に位置する、ニンビン省の中に世界複合遺産にも登録されているチャンアンがあります。人口13万人ほどの都市ニンビン省は、ハノイから約100kmほど離れた位置にあり、車でおよそ2時間ほどの所要時間となります。

チャンアンが位置するニンビン省とは?


まずはチャンアンが位置するニンビン省を少しだけ解説します。ハノイが位置するベトナム北部では、ハロン湾に次ぐ2番人気の郊外観光地がこのニンビン省です。その様子はどこかハロン湾と似ており、ニョキニョキと地面から奇岩が生え、まるで水墨画の世界に入ったかのような感覚に陥ります。
それもそのはず。中国の桂林からベトナム中部地方まで伸びる、カルスト台地の一部として存在しているため、ハロン湾とニンビンは兄弟のような関係なのです。
そのため、今回紹介するチャンアンは、「陸のハロン湾」という愛称でも親しまれています。

ニンビン省の魅力は何と言っても、自然の豊かさと観光のしやすさが共存しているとこ。近年少しずつ観光開発が進み、まさに今が一番観光し甲斐がある時であると言っても過言ではありません。

ニンビン省の場所はこちら

チャンアンの概要


ニンビン中心地より西に10kmほど、車で20分ほどの距離に位置します。
チャンアンは、英語ではTrang An Landscape Complexと呼ばれており、日本語でもチャンアン複合景観と直訳通りの名前が正式名称となります。

なぜ複合景観と呼ばれるかと言うと、実はチャンアンは50の洞窟(48とも言われております)、31の渓谷を有する景勝地の総称であり、実はツアーや川下りできる場所は、チャンアンの一部でしかないのです。そのためその総面積は、21.68㎢(東京ドーム約460個分)にもなります。
通常のツアーや観光用の小舟でのクルージングではではその一部を1.5~3時間ほど回ることになります。

2014年に「古都ホアルー」を含む、文化的・歴史・自然的な豊かさが東南アジア初の世界複合遺産に登録されました。
よく日本語のサイトではチャンアンの素晴らしい景観ばかりがと取り沙汰されますが、実は文化・歴史的な価値が非常に優れた場所でもあります。

ユネスコによると、世界自然遺産ではなく、複合遺産として登録された理由は、①文化的価値、②美学的価値、③地学的価値の3点からなるとされています。

文化的価値


チャンアンでは、石灰質のカルスト台地の地形を生かし、1~3万年ほど前から人類が居住システムを構築してきたとされています。観光用のルートでも小舟で通るいくつもの洞窟でも、先史時代の石灰岩でできた多くの考古学的な遺物が発見されており、古代ベトナム文化を知る大きな手がかりとなり得るとされています。

美学的価値


肌かの奇岩と木々豊かな自然・緑にも黄金色にもなる水田と青色の澄んだ川。チャンアンは季節によってとめどなく景色が移り変わり、常に人々を魅了してきた点を評価されています。絶え間なく変化するその対照的な色味が豊かな自然となって人々に感動を与え、人類と自然が共存した代表的な例であるとされています。

地学的価値


チャンアン周辺地域は、チャンアンのような穏やかな流れの河川が非常に存在します。実はこの地形は、1億年の時を経て、かつて海だったところが、地盤の隆起によって奇岩がニョキニョキと生えたため、それらの河川は互いに地下水によって繋がっているとされています。台風などの大雨による河川の増水が比較的早く収まるのはこのためです。また、チャンアンで陸の群島が多くあるのは、地盤の隆起が要因です。

チャンアンの乗船場はこちら

チャンアンの歴史について


ベトナム最初の独立王朝である、丁朝がホアルーに王朝を建設した当時、3㎢(東京ドーム約65個分)もの土地を、2つの区画に分けたとされています。そのうちの1つの呼び名が、「チャンアン市」と名付けられました。現在では河川の総称として使われることが多いチャンアンですが、約1,000年前は土地の名前として使用されていました。

チャンアン(trang an)という言葉を聞いて、中国通の人であればピンと来る人も中にはいるのではないでしょうか。現在の西安に当たる、シルクロードの出発地点 長安(chang an)と発音がとても似てます。
それもそのはず、当時の王朝はこ当時の世界最大の都市である長安を倣ってこのように名付けたとされています。
中国から真の独立を果たした最初の王朝とはいえ、中国からの影響を大きく受けていたことが、ここからも伺えます。

実はチャンアンは、有史時代に入ってからはそれほど歴史には登場してきません。むしろ、昔ながらの景勝地として名を馳せていただのはタムコックの方であります。18世紀に、タムコックを訪れた2人の僧侶が、水墨画のような世界観に感銘を受け、タムコック近郊にビックドン洞窟寺院を建設したとの歴史があります。
それ以降は、ビックドン=タムコックが謂わばセットとなり、長らくニンビン観光の主役として取り沙汰されていました。

ただ、ユネスコにはチャンアンをメインとする世界遺産登録がされており、それに伴いタムコックからチャンアンに人気が移ってきたというタムコックからするとなんとも残念な歴史があります。

チャンアンのベストシーズンは?


結論から申し上げると、チャンアンのベストシーズンは9月中旬から10月中旬ごろになります。
チャンアンは四季に別れており、暑すぎず、比較的気候も安定している秋季が最もオススメできる訪問時期になります。

年間天候スケジュール (2017年)

1月 2月 3月 4月 5月 6月
シーズン 冬季 春季 夏季
平均最高気温(℃) 19 22 23 28 31 33
降水確率(%) 30% 38% 48% 49% 52% 54%
晴天確率(%) 10% 6% 4% 3% 6% 2%
7月 8月 9月 10月 11月 12月
シーズン 夏季 秋季 冬季
平均最高気温(℃) 33 32 32 29 26 22
降水確率(%) 59% 55% 43% 31% 25% 23%
晴天確率(%) 2% 2% 8% 20% 27% 21%

春季 – 3~5月


そこまで雨が多いシーズンではなく、また暑すぎない良い天候です。第2のベストシーズンとも呼ばれています。
4月ごろに入ると、一毛作のエリアは田植え、二毛作を行なっているエリアは黄金色の稲穂を見ることもできます。

夏季 – 6~8月


晴れている日はとても暑く、雨の日が多い時期になります。6~7月は比較的晴れている日が多いですが、非常に暑いため、小舟体験の際は日よけの帽子や日傘が必須です。
台風が多いシーズンとはなりますが、地形上台風が比較的届きにくい場所にはなりますので、ハロン湾に伺うよりかは、チャンアン等に伺う方が良いかと思います。
6月初旬頃には、ハスの花を見るチャンスもあります。

秋季 – 9~10月

画像はタムコックです

最も観光に適したシーズンです。晴れの日が比較的多く、雨も振りにくいシーズンであり、気温も暑すぎないため、快適に小舟での川下りをお楽しみいただけます。
また、1年で最も稲穂の収穫が多い時期のため、黄金色にも光る景色を楽しむことができます。

冬季 – 11~2月


ベトナムとはいえ、北部はかなり寒くなります。日本と比べると気温はやや高くなりますが、それでもダウンジャケットと等は必須です。
また、曇りが非常に多く、晴れ間が見えることは滅多にありません。写真映えはしないシーズンですが、水墨画の世界に最も近いシーズンになるので、幻想的な風景をお楽しみいただけます。

ただ、ベトナム旧正月(テト)後1ヶ月は、信じられないほどの混雑状況になります。この時期にチャンアンに集まる小舟の数は、約7,000隻とも言われおり、川はボートで埋まることはもちろん、チケットを購入するのにも、普通に2~3時間ほど並びます。この時期にチャンアンに向かうのはやめましょう。弊社でも該当時期はチャンアンへ伺うツアーの催行を見合わせております。
尚、2020年のテト祝日期間は、1月24~27日までとなります。

チャンアンの小舟体験は3つのルートがある?


観光用ルートのチャンアン渓谷小舟体験は、実は3つのルートがあります。

ルート1 - 所要時間:約3.5時間

このルートでは、合計9つの洞窟・3つのお寺を巡ります。
最も長いクルージング時間であり、洞窟・お寺の訪問が最も多いのがこちらのルート1になります。

とにかくチャンアンの景色を長く、楽しみたい方にオススメです。かなり所要時間が長いので、お尻と腰が痛くなることを覚悟してください。

訪問場所 Trinh寺 - Toi洞窟 - Sang洞窟 - Nau Ruou洞窟 - Tran寺 - Ba Giot洞窟 - Seo洞窟 - Son Duong洞窟 - Khong御殿 - Bao Hieu寺 - Khong洞窟 - Tran洞窟 - Quy Hau洞窟

ルート2 - 所要時間:約2.5時間

このルートでは、合計4つの洞窟・2つのお寺を巡ります。
弊社ツアー、その他ツアー会社で最も利用することが多いのが、こちらのルート2になります。

2.5時間というチャンアンを楽しむのに最適な時間と、訪問場所の数が人気です。
キングコングの映画のセットが残るエリアにも伺うため、新旧両側面のチャンアンを楽しむことができます。

訪問場所 Lam洞窟 - Vang洞窟 - Thanh Truot洞窟 - Suoi Thien寺 - Dai洞窟 - Vu Lam御殿 - キングコングセットエリア

ルート3 - 所要時間:約1.5時間

このルートでは、合計3つの洞窟・3つのお寺を巡ります。
最も訪問先が少なく、また最もクルーズ時間が短いため、あまり時間がないけどチャンアンを楽しみたい、という方にオススメのルートです。

他のルートよりも、ゆったりとしたクルーズが魅力のルートのため、体力が心配な方も安心してお楽しみいただけます。

訪問場所 Trinh寺 - May洞窟 - Suoi Tien寺 - Dai Linh洞窟 - Dai洞窟 - Vu Lam御殿 - キングコングセットエリア

チャンアンの小舟体験について


チャンアンといえば、ゆったりのんびりとした小舟体験です。川の流れもほとんどなく、のんびりとした川下りをお楽しみいただけます。

チケットの購入方法

チケットカウンターで簡単に購入することができます。
チケット料金は、200,000vnd(約1,000円)/1名様、もしくは800,000vnd(4,0000円)で1隻を貸し切ることもできます。
難点は、ルートの選択です。何も言わないと勝手にルート2になってしまいます。

クルージングスタート


通常は1隻に4名(漕ぎ手を含めて5名)まで乗船し、クルージング開始です!
チャンアンクルーズのポイントを以下よりまとめております。

広い川幅と開けた空間


タムコックとの比較になってしまいますが、チャンアンは川幅が広いエリアが比較的多く、視界いっぱいに奇岩と自然豊かな木々、澄んだ川が広がります。
つまり、写真があまり得意ではない方でも、写真映えしやすい、というのがチャンアンクルーズのオススメポイントです。

頭上注意!洞窟はかなり狭いところも…


洞窟や水位にもよりますが、かなりかなり狭くギリギリの空間を漕ぎ手のおばさんのテクニックによって切り抜けていくという、なんともスリリング満点なクルージングもお楽しみいただけます。
カメラ口を覗き込みすぎ、洞窟に入っていくと気づかないうちに頭を打ってしまうこともあります…洞窟に入る際は高さをきちんと確認し、必要があれば頭を低く保つようにしてください。

ルート2の場合、1番最初に伺うLam洞窟が個人的には一番好きです。洞窟出口付近の奇岩の形状がかなり開けているため、神々しい光が洞窟内に差し込んでいます。
是非ルート2に伺う方は洞窟に入る前にカメラの準備をしてください!

ところどころに点在する、自然・奇岩とマッチした寺院


チャンアンにはいくつもの寺院が点在されており、訪問することも可能です。比較的新しいく建造されたものから、700年以上も前に建てられたものまで、クルージングしながら楽しむことができます。
そんな数々の寺院の中でも、最も美しいのが、Vu Lam御殿です。

約800年前に建てられたこの御殿は、陳朝時代の王Tran Thai Tongが、元による攻撃で国内で初の敗北を受け、王位を放棄した後に建造されたものになります。
王位放棄後に、Tran Thai Tongは仏教徒として悟りを開き、その拠点の一つが、このVu Lam御殿とされています。
また、この御殿は当時元からの再攻撃に備え、米倉庫、駐屯地、武器庫の役割も果たしていました。

川に突如として浮かぶ、お寺のような写真は、その御殿の一部であり、その景観と美しさから、僕が勝手にベトナムの厳島神社と呼んでいます。

キングコングの撮影地!撮影当時のセットが再現されている?

ルート2・ルート3を選択した場合、キングコングのセットが再現されている島にいくことができます。
2017年に公開された、「キングコング: 髑髏島の巨神」の撮影地の1つがこのチャンアンなのです。その中に出てくる現地民族の小屋などがなかなかのクオリティで再現されています。

ボートから降りる際はチップを…


ベトナムでは観光にまつわるもの限定で、ほとんどの場面でチップが必要になります。
このチャンアンクルーズも例外ではなく、ボートから降りる前にチップを1名様あたり50,000vnd、船を漕いでくれた方に、直接お渡しください。
弊社ツアーでも、チャンアンのクルーズを取り仕切っている観光庁のルールにより、ガイドから渡すことが禁止されているため、お客様から直接お渡しいただくようお願いしております。

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ハノイからの行き方

ハノイからチャンアンへの行き方は主に3つの選択肢があります。

バスで行く方法


最も自由にスケジュール調整ができるのが、バスで行く方法です。
弊社で手配しているバスは、1時間に1本のペースでニンビンまで向かうバスを手配しております。
ラグジュアリー車仕様なので、2時間の乗車時間も疲労をあまり感じることなくお過ごしいただけます。
ただ、チャンアンまで直接向かうものではないので、ニンビン市内主要ホテルで降車いただき、その後タクシー等でチャンアンまで向かうことになります。

料金 $20 /1席 /片道
所要時間 2時間
出発時間 5:30~19:30まで1時間に1本
出発場所 70~72 Tran Nhan Tong st. (旧Nikko Hotel Hanoiの隣)
到着場所 ニンビン市内主要ホテル

列車で行く方法


比較的自由にスケジュール調整ができ、なおかつベトナムの列車旅を楽しむことができます。
1日5~6本ニンビン駅行きの列車が出ております。
ただ、チャンアンまで直接向かうものではないので、ニンビン駅で降車いただき、その後タクシー等でチャンアンまで向かうことになります。

料金 $10~15 /1席 /片道
所要時間 2.5時間
出発時間 6:00・9:00・14:30・19:30・20:10・(13:10)
出発場所 ハノイ駅
到着場所 ニンビン駅

ツアーで行く方法


最も楽にチャンアンまで向かう方法は間違いなくツアーです。
ガイド・送迎・昼食・全ての入場料とボート代金も入っていると考えると、案外コスパがいいんですよ。
古都ホアルーの訪問も入っているので、奥深いニンビンの歴史を日本語で聞くことが可能です。安心感や歴史などの説明を日本語で詳しく聞きたい、という方におすすめです。

料金 $96 /1名様
所要時間 10時間
訪問場所 古都ホアルー・名物レストラン・チャンアン渓谷クルーズ(基本的にはルート2をクルーズ)
料金に含まれるもの 古都ホアルーチケット代、昼食代金(ニンビン名産品)、チャンアン小舟代金

まとめ


いかがでしたでしょうか。
チャンアンの魅力に少しでも気づいていただけたら幸いです。
その弊社TNK&APTトラベルでは、ニンビン観光に関する様々なお問い合わせに対応しております。
旅行好きハノイ在住の弊社スタッフがなんでもお答えいたしますので、どうぞお気軽にお問い合わせください!!!

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