ベトナム国旗を徹底解説 これまでの変遷と国旗に秘められた意味を解説します。

ベトナムの国旗

ベトナムの国旗といえば赤い下地黄色い星が真ん中にあり特徴的なデザインをしています。そんなベトナムでは、祝日に一般市民も国旗掲揚が義務付けられています。

そこで今回はベトナムの国旗にはどんな意味があるのか調べてみました。ベトナムの国旗ができる歴史にも触れながら見ていきたいと思います。

ベトナムの国旗

ベトナムの国旗

ベトナムの国旗の概要

ベトナムの国旗は金星紅旗(きんせいこうき)と呼ばれています。この旗は縦横2:3の比率の長方形型で、赤い背景と中央に五芒星と言われる黄色い星があります。

この旗は1976年7月に南北ベトナムが統一されてから現在まで使われています。そしてこの旗はベトナム建国の祖であるホー・チ・ミン氏によって作られました。ホー・チ・ミン氏はこの国旗の赤い背景と黄色い星にそれぞれ意味を込めています。

ベトナムの国旗の意味

ベトナムの国旗

赤色の意味

ベトナムの国旗の赤色には2つの意味があります。

1つ目は社会主義を象徴しています。赤い旗は社会主義を表すものです。赤い旗は1791年のフランス革命時代に抗議の意味として、赤い旗を革命思想の社会主義を表すようになりました。ベトナムは社会主義国家なので国旗に赤を織り込んでいます。

2つ目は戦争で流れたを表しています。ベトナムは1945年の独立宣言後も植民地支配を狙うフランス・アメリカと激しい戦争をしました。ベトナムの国旗はこの二つの大きな戦争で失った血を国旗に表しているのです。

黄色い星の意味

ベトナムの国旗の黄色い星は革命を表しています。この星の先は5つの光を表し、それぞれ労働者農民戦士青年知識人を指しています。ホー・チ・ミン氏は各階級の人々が団結するよう願いこの星のマークになったと言われています。

ベトナムの国旗ができた歴史

1945年〜1955年のベトナム民主共和国の初代国旗

北ベトナムの初代国旗

Wikipedia「ベトナムの国旗」より引用

この国旗は、ベトナムがフランスの植民地支配から独立するための象徴として作られました。

ベトナムは昔、フランスから植民地支配を受けていました。フランスが第二次世界大戦時、フランス本土が攻め込まれベトナムから撤退します。そこでベトナムの北側地域は1945年ベトナム民主共和国の独立を宣言します。

しかしフランスはベトナムの南側地域の植民地支配を再度始め、フランスの傀儡国家となるコーチシナ共和国を建国します。フランスはベトナム民主共和国もまた支配しようとし、1946年にインドシナ戦争が始まりました。

コーチシナ共和国

ベトナム民主共和国はホー・チ・ミン氏主導でベトミン(ベトナム独立同盟会)を結成します。ベトミンはインドシナ戦争時この旗を独立運動の象徴として使用していました。そのためベトナム民主共和国がインドシナ戦争に勝った後もこの旗はベトナム民主共和国の国旗として使われるようになりました。

1955年〜1976年のベトナム民主共和国とベトナム共和国の国旗

インドシナ戦争が1954年に終結しフランスはコーチシナ共和国の支配をやめ、ベトナムの南側地域から撤退します。しかし南北ベトナムはジュネーブ協定によって北緯17度で分断されました。そして分断されたベトナム民主共和国(北ベトナム)と、アメリカによってベトナムの南側地域に建国されたベトナム共和国(南ベトナム)はそれぞれの国旗を使用するようになりました。

ベトナム民主共和国(北ベトナム)の国旗

北ベトナムの2代目国旗

Wikipedia「ベトナムの国旗」より引用

ベトナム民主共和国は分断後、初代の国旗の星を修正し2代目の国旗が作られました。初代の国旗の星に比べシャープな星に修正されました。

ベトナム共和国(南ベトナム)の国旗

南ベトナムの国旗

Wikipedia「ベトナムの国旗」より引用

ベトナムの南側地域は分断後、アメリカの支援を受けてベトナム共和国を建国します。ベトナム共和国は黄色の背景赤い横線が3本入った国旗を作りました。黄色は昔からベトナム民族の象徴の色とされ、赤い3本の横線はベトナムの北部・中部・南部を表していました。

1965年〜1975年、南ベトナム解放民族戦線(ベトコン)の旗

南ベトナム共和国の国旗

Wikipedia「ベトナムの国旗」より引用

この旗は1965年のベトナム戦争でアメリカの支配からベトナム共和国を含めた南側地域を解放するために使用されました。この国旗の赤い上部はベトナム民主共和国を指し、青い下部はベトナム共和国を指しています。

ベトナム民主共和国は1965年からベトナム共和国を支配するアメリカとベトナム戦争を開始しました。ベトナム民主共和国は南ベトナム解放民族戦線(ベトコン)を結成しこの旗を掲げ戦いました。

ベトナム戦争は10年にも及びましたが、1975年のベトコンの攻撃を受けアメリカ軍は撤退しベトナム民主共和国の勝利となります。

1976年〜現在のベトナムの国旗

北ベトナムの2代目国旗

Wikipedia「ベトナムの国旗」より引用

ベトナム民主共和国はアメリカ軍が去った後、ベトナム共和国を統合しベトナム全土を統一しました。そして南北ベトナムは今のベトナム社会主義共和国になり、ベトナム民主共和国の国旗を現在も引き継いで使用しています。

まとめ

ベトナムの国旗の服を着る子供

いかがでしたか。今回はベトナムの国旗の意味についてベトナムの歴史を見ながら調べました。ベトナムの国旗の変化や現在のデザインがベトナムの歴史と関係が深かったようです。この記事を読んでベトナムの国旗の歴史がもっと気になったらぜひ調べてみてください。