カンボジア旅行で注意すべき感染症とは?胃腸炎・デング熱・下痢などの症状と対策をお伝えします

カンボジア旅行で注意すべき感染症

世界遺産のアンコール・ワットを始めとする、数々の寺院遺産が観光名所となっているカンボジア。日本からは年間に約20万人が観光に訪れる人気の旅行地となっています。多くの観光客が訪れるのは、首都プノンペンやシェムリアップなどのエリア。その傍ら、運悪く感染症に罹ってしまうことがあります。

そこで今回は、カンボジア旅行で注意すべき病気について解説しながら、どんな状況下で罹りやすいのか、どんな対策が有効なのか、事前に準備すべきことはあるのかを、詳しくお伝えします。

特に東南アジアへの旅行が好きな方は、知っておいて損はない情報です。ぜひ最後までご覧ください。

カンボジアの水や食べ物が原因で罹る感染症

カンボジアの水や食べ物が原因で罹る感染症

衛生管理が行き届いていないカンボジアのレストランや屋台では、食事や飲み物、食器類などに細菌が付着していることがあります。それらを体内に取り込むと、耐性の無い旅行者の多くに症状が表れます。

数時間で収まる軽い腹痛ならば、食べ過ぎや環境の変化によるものが原因で、胃薬を飲んだりトイレを済ませれば改善します。しかし、時間が経つにつれ症状が悪化する場合は、下記の感染症を疑うべきでしょう。

細菌性胃腸炎

大腸菌やサルモネラ菌が原因で起こる胃腸炎で、いわゆる食中毒を指します。カンボジア旅行者が特に罹りやすい感染症です。菌が付着した食べ物を摂取すると、約半日~1日後に急激な腹痛・下痢・嘔吐・発熱に襲われます。

発症から約1日で回復に向かいますが、その後しばらくは胃の不調が続きます。症状が落ち着いてきたら、十分な水分補給をして脱水症状を防ぎ、安静に過ごしましょう。

ウイルス性胃腸炎

ノロウイルスやロタウイルスが原因で起こる胃腸炎で、こちらもカンボジア旅行者が罹りやすい感染症です。病原体が付着した手や食器を通じて、または菌が付着した食事を通じて体内にウイルスが入り込みます。

症状と対処方法は細菌性胃腸炎と同様ですが、症状が強くでることもあるため、落ち着いたら早めに病院へ行きましょう。

A型肝炎

ウイルス感染で起こる肝炎の一種です。胃腸炎と同様の感染経路で、特に生食が引き金になることが多いです。発症後は強い肝炎症状が起こり、熱・嘔吐・頭痛・腹痛・倦怠感が現れますので、すぐに病院へ行きましょう。

なお、A型肝炎は予防接種により回避できますが、事前に接種するカンボジア旅行者は少ない印象です。

アメーバ赤痢

赤痢アメ-バという寄生虫が原因で起こる感染症です。汚染された水や氷などを口にすると感染し、血便や腹痛といった辛い症状が続きます。感染が疑わしいときは必ず病院を受診し、薬を処方してもらいましょう。

なお、体調によっては薬の副作用が強く出ることもあります。潜伏期間は約2~3週と長引くため、カンボジアから出国できない容態ならば、無理をせず安静に過ごしましょう。

腸チフス

チフス菌が原因の感染症で、感染者の排泄物に汚染された食品を口にすると感染します。胃腸炎やアメーバ赤痢よりも感染の可能性は低く、カンボジア旅行者は稀に罹ることがあります。

感染すると、激しい腹痛・下痢・高熱に襲われ、入院が必要となります。症状を強く感じたら、迷わず即座に病院へ向かいましょう。

カンボジア旅行での感染症対策、準備すべきもの

カンボジア旅行での感染症対策

水や食べ物が原因となる感染症の対策は、とにかく清潔を保ち、疑わしいものを口にしないことです。手指はもちろんお皿や箸も除菌シートで拭き、生水は避けてミネラルウォーターを飲みましょう。

カンボジアの氷や生野菜で感染するかは、旅行者の耐性やお店の衛生状態によるため、食事の際はなるべく地元民で賑わっている人気店を選ぶと良いでしょう。状態の悪い品を出す店が嫌煙されるのは、どこの国も同じです。

また、心配な人は整腸剤や下痢止めを多めに用意しましょう。軽度の症状であれば、持ち込んだ薬で対処できますよ。症状が悪化したときはすぐに病院へ行けるよう、海外旅行保険が提携しているカンボジアの病院を確認しておき、パスポート・海外旅行保険の証券・クレジットカードなどを忘れず持って行きましょう。

カンボジアの生き物を媒介して罹る感染症

カンボジアの生き物を媒介して罹る感染症

生き物を媒介して罹る感染症は、細菌やウイルスによる感染症よりも、罹る可能性が低い病気です。しかし、発症後は非常に重い症状が出るため、いざという時のために、どんな感染症があるのかを知っておく必要があります。

デング熱

デングウイルスをもつ蚊に刺されると発症する感染症で、カンボジアを含む熱帯・亜熱帯気候の地域で流行しています。感染すると、高熱・頭痛・全身の筋肉痛・嘔吐といった辛い症状が続き、稀に重症化するため注意が必要ですが、概ね1週間ほどで回復します。

なお、デング熱に効く予防接種はなく、蚊に刺されないよう気を付けるしかありません。

マラリア

マラリア原虫をもつによる蚊に刺されると発症する感染症で、カンボジアでは周辺国との国境付近で発生しています。発症後は高熱・悪寒・頭痛・嘔吐など様々な症状が見られます。

重症化すると意識障害を起こしたり、最悪の場合に死に至ることもあるため、体調不良を感じたら、すぐに病院へ行けるよう準備しておきましょう。マラリアは予防薬で対策できますが、主要な観光スポットを巡る程度ならば、特に必要ないでしょう。

日本脳炎

日本脳炎ウイルスを持つ豚の血を吸った蚊に刺されると感染します。カンボジアは農村地帯などの田舎で感染のリスクが高く、症状は他の感染症と同様ですが、死亡率が比較的高い危険な病気とされています。

日本脳炎は予防接種で対策できますが、旅行前に接種する人は少ない印象です。なお、発症後に効く治療薬はありません。

破傷風

破傷風菌が傷口に入り込むことで起こる感染症です。破傷風菌は土壌に生息しており、転んだり動物に噛まれた際、傷口に土が付着することで感染のリスクが高まります。発症すると、痙攣や呼吸困難などの辛い症状に見舞われ、死亡率も比較的高いため注意が必要です。

こちらも予防接種で対策できますが、まずはカンボジア旅行中に怪我をしないよう十分に気を付けましょう。

狂犬病

狂犬病ウイルスを持つ犬に噛まれると発症する感染症で、日本・オセアニアなどを除く全世界で発生しており、カンボジアも例外ではありません。発症後は全身に痙攣が起こり100%死亡しますが、感染後すぐに暴露後ワクチンを接種することで回避できます。

なお、狂犬病も事前の予防接種が可能です。

生き物を媒介して罹る感染症対策、準備すべきもの

生き物を媒介する感染症の多くは、蚊が原因となるため、刺されないよう工夫が必要です。カンボジアでは日中はもちろん夜間も蚊が多く、ホテルの部屋にまで入ってくるため、常に虫よけスプレーをするなどして対策しましょう。

また、野犬には近付かないようにし、郊外ではなるべく肌を覆う服装を心掛けましょう。
とはいえ、感染するか否かは正直「運」だと思います……。ひとまず上記のような病気があることを知り、何かあればすぐ病院に行けるよう備えましょう。

その他、カンボジア旅行で注意したい症状

カンボジア旅行で注意したい症状

菌やウイルスによる感染症のみならず、カンボジア旅行中は常に注意すべき症状があります。

熱中症

カンボジアは年間を通じて30℃以上の亜熱帯地域です。特に雨季(6~10月頃)は湿度も高く、息苦しい気候で体調を崩しやすいです。旅行中は水分補給とこまめな休憩を意識し、移動もバスやタクシーを利用しましょう。

冷房による風邪

カンボジアのショッピングモールや一部のレストラン・カフェは冷房が非常に強く、日本人には寒く感じることもあります。羽織物を一枚持って行くなどして、調節できるようにしましょう。日よけにもなって便利です。

ひったくりや道端での怪我

プノンペンやシェムリアップなどの観光エリアでは、ひったくりに遭って転んだり、整備の行き届いていない道で足を捻ったり……怪我をする恐れもあります。軽度の擦り傷ならば自分で処置できるよう、絆創膏や消毒液といった救急セットを持って行きましょう。

まとめ

カンボジア旅行で注意すべき感染症

以上、カンボジア旅行で注意すべき感染症についてお届けしました。たくさん種類があって覚えきれないと思いますが、とにかく「口に入るもの」と「蚊」には絶対に気を付けましょう。少しの意識で辛い症状を避けることができるため、現地での健康管理は欠かせません。

ぜひこうした感染症について学んでおき、来るべき日のカンボジア旅行を安心安全に、そして楽しくお過ごしください!