トゥドゥック帝廟 - フエと周辺の観光スポット

フエの三大帝廟の一つ【トゥドゥック帝廟】古典的で風情あふれる庭園の持ち主とは。皇帝の人物像とその当時の時代背景まで詳しく解説いたします。

トゥドゥック帝廟

ベトナムの首都ハノイ、経済都市ホーチミンに続いて名前をはせる古都フエ。フエの特徴は、なんといっても多く現存する帝廟。昔の都だったフエには、今日の私達にも当時の反映を伺わせる美しい帝廟が残っています。 帝廟とひとくちにいってもすべて同じではありません。ひとつひとつの帝廟には、時代背景から帝個人の趣味や考えまで染み込んでいます。帝廟は美しさや伝統を楽しむだけではなく、歴史まで知ることができるのです! 今回ご紹介する帝廟は、フエに残る帝廟のなかでも珍しい理由でつくられたトゥドゥック帝廟です。

トゥドゥック帝廟がつくられた理由は?

帝廟とは、帝のお墓という意味です。廟はお墓という意味があります。多くの帝廟は帝の生前や死後に「お墓」を目的として建てられます。 しかし、トゥドゥック帝廟は違います。この帝廟の主トゥドゥック帝は、ここを生前別荘として使っていました。トゥドゥック帝廟にはお墓だけではなく、生前の帝が住んでいた住居もあるのです!

トゥドゥック帝廟

トゥドゥック帝は、どんな人?

トゥドゥック帝はグエン朝の4代皇帝です。4代という時期は、グエン朝でいう後期の時期にあたります。  トゥドゥック帝の在位期間は、1847~1883年と長期に渡ります。その期間なんと35年間! 13人いる皇帝のなかで、もっとも長い在位期間を誇ります。  長い在位期間を誇るトゥドゥック帝ですが、在位期間が穏やかなものであったかというと……残念ながら違います。皇帝の位につく前年の1847年、フランス軍はトゥーラン(現在のダナン)を砲撃しました。その後、1958年にはフランス・スペイン軍によりトゥーランは占領されてしまいます。

トゥドゥック帝廟

1959年にはサイゴン(現在のホーチミン)も陥落し、1862年のサイゴン条約で南部三省が奪われ、1866年に全南部省を奪われてしまいました。  キリスト教の弾圧を強化したトゥドゥック帝は当時の宗主国清国(中国)と良好な関係にありましたが、代わりにフランスとは悪関係にありました。最終的には清仏戦争にまで発展し、ベトナムは戦勝国フランスの保護下・支配下におかれることになります。  在位期間は長いトゥドゥック帝ですが、決して穏やかな時期を生きていたとはいえません。

トゥドゥック帝廟は地味?

ベトナムの帝廟は、全体的に中国の影響を強く受けています。そのため、色彩は非常に鮮やかです。赤・緑・金など原色をベースにした色使いは、今を生きる私たちには目にまぶしくも感じさせます。  ところが、トゥドゥック帝廟からは他の帝廟のような華美さは感じません。ベトナムで一番嫌われていると有名なガイティン帝の帝廟のような、建築的な豪華絢爛さもありません。  トゥドゥック帝廟にあるのは華美ではない美しさ。ガイディン帝廟を金閣寺と例えたとき、トゥドゥック帝廟には銀閣寺のような趣があります。  華美ではないトゥドゥック帝廟は見てもつまらない……ことはありません! 銀閣寺が侘び寂びを感じさせる建築物であるのと同じように、トゥドゥック帝廟にはトゥドゥック帝廟にしかない穏やかな美しさがあります!

紫禁城

トゥドゥック帝廟の見どころ:①帝が釣りをした池

先ほども書きました通り、トゥドゥック帝廟はお墓のためだけに建てられた建築物ではありません。この帝廟の特徴は、帝が生前別荘として暮らしていたところ。  トゥドゥック帝廟には、トゥドゥック帝が釣りを楽しんだ池があります。  池があるのはトゥドゥック帝廟の中央。蓮の花が咲く池の向こう側には赤茶色の屋根の建物も見え、いかにもベトナム風の風景を楽しむことができます。  トゥドゥック帝はたまに別荘にやってくると、この池に船を浮かべて釣りをしたり、思想にふけったりと、穏やかに過ごしていたようです。池に船を浮かべて釣りをしたり思想にふけるのは、中国や当時の朝鮮半島・日本の貴族にもみられた楽しみ方ですね !

トゥドゥック帝廟

トゥドゥック帝廟の見どころ:②本殿

トゥドゥック帝廟は全体的に華美ではありません。……が、実はこの本殿、建物の外は地味なのに中は非常に美しい装飾がほどこされています。配色が華美なわけではありません。外の荘厳な建築と合うような細かで繊細な装飾がほどこされているのです。 帝が座ったとされている椅子は有料オプションで座ることができます。皇帝の衣装を着ることもできますよ!

トゥドゥック帝廟

トゥドゥック帝廟は「オトナ」美しい!

トゥドゥック帝の在位期間は、お世辞にも穏やかなものであったとはいえません。帝廟と別荘を分けて建てなかったのも、帝廟が地味なものであるのも、当時の時代背景が関係しているのかなぁと筆者は思います。建物や文化というのは、どうしても当時の時代とは切り離せないもの。荒れた世を治めていたトゥドゥック帝は、豪華絢爛な中華風の美学ではなく、穏やかな美しさの中華風の美学を求めたのではないでしょうか。 土や自然の色をいかしたトゥドゥック帝廟は「オトナ」の美しさが際立ちます。自然のなかで、ゆっくりとした時間の流れに身をまかせ、ノスタルジックな雰囲気にゆったりとひたるのはいかがでしょうか? トゥドゥック帝廟へは個人で行くこともできますが、ツアーで連れて行ってもらうことをおすすめします!

トゥドゥック帝廟

アクセス

住所:Trung Tam Bao Ton Di Tich Co Do, Hue
入場料:大人 150,000VND / 子供(7 - 12歳) 30,000VND

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