トゥドゥック帝廟 - フエと周辺の観光スポット

謙虚で静かな帝廟「トゥドゥック帝廟」

トゥドゥック帝廟は、フエ郊外にある阮(グエン)朝第4代皇帝トゥドゥック帝の帝廟

トゥドゥック帝廟は、フエ郊外にある阮(グエン)朝第4代皇帝トゥドゥック帝の帝廟です。トゥドゥック帝の在位期間は35年間と、阮朝で歴代最長となっています。このトゥドゥック帝廟は、元々トゥドゥック帝の生前、1864年から3年間かけて、長期間用の別荘として建設されたもので、死後に転用され帝廟として用いられることになりました。

現在の帝廟でも当時トゥドゥック帝が住んでいた住居からお寺、また皇帝が釣りを楽しんだと言われている蓮沼等、当時の生活感のままのこっています。別荘として建てられたので、他のグエン朝王宮やカイディン廟とはまた異なった様相を呈します。鳥のさえずりや風の音、保養地としての静けさを感じることが出来るのが他とは異なった魅力の一つです。

トゥドゥック帝廟の崩れた石畳

トゥドゥック帝廟の池

トゥドゥック帝

荘厳な帝廟をご覧いただく前に、予備知識としてトゥドゥック帝について少し知って頂くことで、より有意義なご見学となるでしょう。 20世紀中旬までベトナムはフランスの保護下にあったので、現代のベトナムは、「バインミー」に代表されるパン文化、フランス式のフィルターで抽出されるベトナムコーヒー等、フランス文化に大きく影響され、街を散策するだけでフランスの風を感じることが出来ます。

巷では「東洋のパリ」と言われているようで、フランス料理の名店も数多く軒を連ね、街のいたるところににフランス色を垣間見ることが出来ます。今回は、ベトナムがフランスの保護国となった原因となる、トゥドゥック帝の在位中に起こった出来事についてご紹介させていただきます。

トゥドゥック帝廟の正面門

初代皇帝嘉隆帝が1787年に佛安条約を締結して以来フランスとの関係は良好でありましたが、嘉隆帝の死後、段々と民衆のフランスへの関心は無くなり、嗣徳帝が即位する頃には、キリスト教寺院の損壊等の排仏運動まで起こり始めていました。それに対してフランスは、宣教師の保護と港の割譲といった要求をしました。しかし、嗣徳帝がそれを拒否したことによって、1858年フランス・スペイン連合軍はベトナムへの侵攻を開始しました。

飢饉等の影響もあり、次第に劣勢となった阮朝は1862年には講和条約を受け入れ、阮朝は多額の賠償金やベトナム南部の割譲等を負うことになりました。その後、1883年に嗣徳帝は亡くなりましたが、フランス軍の侵攻により、阮朝は1884年には完全にフランスの保護国となりました。

トゥドゥック帝廟の外壁門

トゥドゥック帝廟の龍

美しい蓮池

入場してまず目を引くのは、とても大きな蓮池「ルー・キエム」で、トゥドゥック帝廟のメインともいうべき存在感を見せつけます。かつてはこの蓮池で皇帝たちが小舟を並べてが釣りを楽しんだとも言われており、現在でも多数の蓮の花を眺めることが出来ます。池の中には、「ティン・キエム」という小島があり、当時トゥドゥック皇帝らはそこで狩を遊びとして行なっていたようです。中世の日本でも、公家・武家の遊びとして「鷹狩り」が流行っていましたので、当時地位の高い所にいた人々の中では、狩を楽しむという文化は万国共通だということがわかります。

トゥドゥック帝廟 美しい蓮池

トゥドゥック帝廟の石畳通路

トゥドゥック帝廟 本殿

ドゥドゥック帝やその妻らが祀られている本殿は、和御殿と言われる形式で建てられているので、どこか日本らしい雰囲気を醸し出します。この帝廟はそもそも別荘、保養所として建てられたので廟としての役割はあまりなく、他の帝廟らと比較しても少し小さいようです。
内部では、当時トゥドゥック帝が実際に腰掛けていたと言われている煌びやかな装飾を施された椅子が展示されており、実際に座ることが出来ます。伝統的な民族衣装もレンタルすることが出来るので、多くの観光客が記念写真をするために列を作ります。

トゥドゥック帝廟

トゥドゥック帝廟の内部

トゥドゥック帝廟正面門

トゥドゥック帝廟の墳墓(ご遺体・ご遺骨が埋葬されている場所)

本来であればこの墳墓に埋葬されているトゥドゥック帝は、こちらには埋葬されていません。陵に沢山の金品、装飾品と共に埋葬されているとされていますが、未だにその所在は明らかになっていません。しかも、墓荒らしを恐れ、その所在を隠すために、トゥドゥック帝を埋葬した200人の召使いは皆処刑されたというなんとも恐ろしい事実もあります。

トゥドゥック帝廟を守る文官と武官

注意点

他のベトナムの観光スポットと同様、過度な露出のある衣服の着用は控えましょう。

アクセス

トゥドゥック帝廟は、フエ中心地の南方約5kmのところに位置しております。公共交通機関も特にございませんので、タクシー、バイク、シクロのご利用が便利です。

住所:17/69 Lê Ngô Cát, Thủy Xuân, Thành phố Huế, Thừa Thiên Huế, Vietnam
入場料:10万VND
開館時間:7:00〜17:00

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