メコンデルタの歴史と魅力。肥沃な湿地帯に多くのベトナム人が住む訳。

皆さんはメコンデルタという地域をご存知ですか?今回は、洪水と共存する人々が暮らす土地、メコンデルタ周辺の歴史と魅力をご紹介します。

メコンデルタとは?


メコンデルタは、ベトナム南部に位置するメコン川河口の湿地帯です。メコン川とは、中国南部から始まり、ミャンマー、ラオス、タイ、カンボジア、ベトナムから海へと続く大河です。メコンデルタでは水上マーケットや増水に備えて高床になっている家々など、この土地ならではの伝統的な暮らしが今も残っています。

メコンデルタの歴史と地形

メコンデルタを語る上で欠かせないのは、地形と食文化に関する歴史です。昔からタイやベトナムなど米を主食としてきた時代の長かった東南アジア諸国では、の継続的な栽培が重要でした。しかし、メコン川流域ではメコン川の氾濫で定期的に洪水になってしまいます。同じく米文化の根付いた日本で生活している私たちにとって洪水はただ「災害」と認識されています。

ところが日本と違い、東南アジア地域では浮稲という茎が5mもあり、まさにメコン川の洪水と共存してきた地域での栽培に適した種類の稲を栽培しています。そのため、かつてはこの地域では雨季に必ず冠水する地域が優れた農地とされていました。農家にとって洪水は「恵みの水」なのです。

加えて、洪水の発生から収束までの周期が短い日本の河川の洪水と違い、メコン川下流に位置するメコンデルタの洪水は発生からピークまでが一ヶ月、そこから4か月ほど水位が安定し、その後収束までの期間が一ヶ月と長く緩やかです。

こうしたことから、メコンデルタは昔から稲作に非常に適した地域であることが分かります。メコンデルタでは実際に、稲作がとても盛んに行われています。メコンデルタは米文化のあるベトナムの食料自給や、米の輸出にとって重要な土地だったのです。

メコンデルタの生活

メコンデルタの人々の生活はメコン川を中心に回っています。メコンデルタに住むベトナム人クメール人の中には土地をもたない人々も多く、彼らは主に魚をとって生計を立てています。土地を持っている人々は、稲作をしたり、果物を栽培したり、魚を養殖する人もいます。魚をとるためにも、作物を育てるためにも、メコン川の水は欠かせません。

メコンデルタ名物の水上マーケットで物を売っているのは農家から直接作物や魚を仕入れた仲買人です。目印代わりに、竹竿にそれぞれの売っているものを括り付けています。仲買人たちは船で生活していて、船の中には生活に必要なものを備えてあります。中には卵を調達するために鶏を船の上で飼う人までいます。


ここに買いに来ているのは、町の市場で品物を売るために買い付けに来ている別の仲買人です。農家から買い取った仲買人が直接町に売りに行かず、別の仲買人に品物を売るのは、彼らは船で生活しているため、町に売りに行くことができないからです。ここで暮らす人々は皆、メコン川が生活用水であり、仕事に欠かせない存在でもあります。メコン川は彼らにとって、まさに命の水なのです。

メコンデルタの魅力


メコンデルタには、いくつもの魅力的な町があります。
定番からディープなスポットまで、メコンデルタのおすすめスポットをご紹介します。

名所その➀ミトー

ミトーでは、今も姿を変えずに残るジャングルを遊覧できるクルーズ船が発着する地です。ミトーのジャングルクルーズは現地でも様々なツアーが組まれています。後述のベンチェーを含めたツアーを組まれていることも多いです。

また、市内から約1km東には永長寺(ヴィンチャン寺)というお寺があります。この寺は中国とフランスの建築様式を取り入れているため、初めて見た瞬間に日本人のイメージする寺とは違う外観の斬新さにきっと驚くことでしょう。

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名所その②ベンチェー

ベンチェーはミトーの対岸にある自然に囲まれた農園地帯です。果樹園が多く、中でもココナッツが名産で、毎年ココナッツ祭りが開催されています。ココナッツを使ったココナッツキャンディーを作る工場などのツアー見学もあります。ココナッツキャンディーは、名前にはキャンディーとありますが、どちらかというとキャラメルのようなお菓子です。工場の従業員の方々が手早く一口大にカットし、袋詰めする様子は圧巻です。

ここで作られたココナッツキャンディーは、ホーチミン市内のスーパーなどに出荷されます。また、はちみつ農園も多く、竜眼(ライチのような味の実のなる植物)の花のはちみつなど、日本ではなかなか手に入らない種類のはちみつもあります。

ベンチェーのココナッツキャンディー工場を訪れるツアーはこちら!

名所その③カントー

カント―はメコンデルタ最大の都市で、水上マーケットで有名です。水上マーケットは午後にはほとんどの取引が終了してしまうので、訪れる際は午前中をおすすめします。ホーチミンから離れているので、水上マーケットを特に取引の多い早朝に見学するなら現地で一泊する必要があります。

水上マーケット見学は、大きい観光用の船は受付でチケットを購入して乗るほか、小さいボートは船主と交渉して乗せてもらうなどして見学します。メコンデルタの中では一番大きい都市なので、都会らしく大型ショッピングセンターなども建っていて、活気のある町です。

カントーの水上マーケットを訪れるツアーはこちら

名所その④カイベ―

カイベ―では今も変わらず水上生活をしている人々が暮らしています。ここにもカントーのものより規模は小さいですが、水上マーケットがあります。見どころの一つに、一昔前に富裕層が土地を買い占めてヴィラを建てた地区もあります。また、これらの豪邸を見学するツアーも組まれています。こうした突然現れる高級な邸宅の並ぶ場所もありますが、全体的に昔からの生活を守り続けるメコンデルタの中でも、特に昔ながらの風景の残る田舎町です。

名所その⑤ダーフック村


(出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/チャム族)

チャウドックにあるダーフック村にはベトナム最大の少数民族「チャム族」が住んでいます。チャム族はベトナムやカンボジアを中心に存続している民族で、チャム語という言語を使います。イスラム教徒であるダーフック村のチャム族の女性は頭をスカーフで隠しているので、そうした服装の方がいれば恐らくチャム族の人です。

チャム族は細かく分けるといくつかの民族の集まりで、チャムフロイ人など髪を隠さない服装の人々もいます。ダーフック村のチャム族はチャムビラウ人と呼ばれる民族です。

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この他にもメコンデルタにはワニの餌やり体験や、ニシキヘビとの触れ合い体験などの様々なアクティビティーがあります。また、ドラゴンフルーツやランブータンなどの珍しい南国の果物や、メコンデルタ名物の川魚「エレファントフィッシュ」など、他にはない食も味わうことができます。


エレファントフィッシュは、象耳魚(エレファントイヤーフィッシュ)とも呼ばれ、象の耳のように大きいことから名前がつきました。ほとんどの場合、ウロコの付いたまま素揚げにして食べます。そのまま食べても、ヌクマム(小魚で作った醤油のような調味料)につけて食べても美味です。ライスペーパーで香草と一緒に巻いて生春巻きのようにして食べることもあります。

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終わりに


メコンデルタは田舎ならではの穏やかな時間が流れ、東南アジアの昔ながらの生活や人々の温かさを感じられる場所です。地域によってはホーチミンから日帰りで行くことも可能ですが、ぜひ泊りがけでゆったりとした時間を満喫してくださいね。
 
 
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