東メボン(East Mebon)とは
About East Mebon Remains
東メボンは、灌漑用水池である東バライの中央にある人口の島に建てられた寺院です。東バライは先の王ヤショヴァルマン1世が造りました。東バライの別名はヤショヴァルマンにちなんで、ヤショダラタターカです。
コ・ケーに遷都していた首都をアンコールへ戻した王、ラージェンドラヴァルマン2世が952年に建立した霊廟です。シヴァ神と王を守護する祖先の霊への敬意を表するために建立されました。
アンコール遷都後の国家寺院となったプレ・ループが建築される9年前に同じ王により造られています。そのため、この2つの寺院の構造はよく似ています。
3段の基壇の最上層に5つの祠堂が配置されています。中心の主祠堂にはシヴァ神のリンガが崇められ、四方の4つの祠堂には祖先を模した神像が安置されていたと言われています。
現在、東バライの水は干上がっていますが、当時は船で出入りしなければならないほどのたくさんの水で満たされていました。東楼門入口は船着場となっていたので、階段などはなく大きな紅土(ラテライト)ブロックが積み上げられているのみです。
東メボンの歴史と見所
900年頃、ヤショヴァルマン1世王により東西約7km、南北約1.8kmもの大きさの灌漑用貯水池が作られました。東バライともヤショダラタターカとも呼ばれます。その中心に人口の小島を作り、建立された寺院が東メボンです。
ラージェンドラヴァルマン2世がシヴァ神信仰と祖先の霊を祀るために造りました。当時の東バライはたっぷりの水で満たされていたために、寺院への出入りは船を使っていたようです。
構造は二重の周壁を持ち、外側の周壁の上部まで水があったことが分かっています。内側の周壁はそのままピラミッドの1段目を形成し、その上に2段の基壇が乗ることになるのです。
水に浮かんだように見せていたのは間違いありません。その水に浮かぶ神殿で特徴的なのが外側、内側それぞれの周壁の4隅に建つ象の像です。立派な象が形をはっきりと残して立っている様子は圧巻!
他、シンハ(ライオン)像も状態良く残ります。東メボンにあるシンハ像は肉感的で愛嬌があると話題です。祠堂には偽扉があり、それぞれにリンテル(まぐさ石)があしらわれています。
たくさんの種類がありますが、どれも見事な装飾で、違いを探しながら見ると面白いでしょう。モチーフは、ヴィシュヌ神の化身ナラシンハや、カーラ(死者の王)、蛇神ナーガなど複数あります。
リンテル(まぐさ石)
巨大な象の石像
ビシュヌのリンテル
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東メボンの王と歴史
西暦 | 王名 | 遺跡名 |
---|---|---|
944年 〜 968年 |
ラージェンドラヴァルマン2世 Lajendvarman II |
主な建築物:東メボン、プレ・ループ、ピミアナカス(アンコール・トム内)など |
東メボンの見学ワンポイントアドバイス
遺跡では水につかっていた部分が変色しており、水位がどの程度あったのかが分かります。水に浮かぶ寺院の姿はロマンがありますね。 東メボンは「ゴールデンマウンテン」と呼ばれていたことがあります。ラテライト(紅土)で造られた寺院が日の光を浴びて真っ赤に輝いたからだという説や光を反射してキラキラと輝く池にそびえるピラミッドだからという説が有力です。 しかし、ラージェンドラヴァルマン2世が造ったピミアナカスは「空中宮殿」と称され、金色の尖塔に覆われていたと伝えられています。ということは、東メボンにも金箔が使われていた可能性は否定できません。金色に輝く寺院だったかも知れないのです。
周壁の4隅に配置された象
のどかな観光地として人気です
祠堂壁面や偽扉に無数に空いた小さな穴があります。かつてはこの穴にダイヤやルビーなどの宝石や金がはめこまれていたと言われていました。
「ゴールデンマウンテン」と呼ばれていた理由の一つにこじつけられていましたが、れんがでできた壁面の装飾に使った化粧漆喰が剥がれないように固定する鋲の穴だということが分かっています。
周壁の4隅に配置された象はほぼ実物大とされ、内側の周壁に配置されたものは周壁の上に乗っています。洗練された彫像を堪能してください。
アンコール遺跡ではおなじみの額縁撮影(径年数に伴う劣化により枠だけが残った入口などが額縁のよう)ですが、東メボンでは撮影ポイントがたくさんあります。思い出に残る写真を撮りたい方は色々なアングルで試してみてくださいね。
王の名前もポイントです。「ラージェンドラヴァルマン」「ジャヤヴァルマン」「ヤショヴァルマン」などなど、歴代の王の名前につく「ヴァルマン」。保護する者という意味を持ち、王のことをあらわす言葉です。知っておくと、他の遺跡を見る時にも役立ちます。
東メボン見学の注意点
経年変化による倒壊に注意
遺跡にはなるべく手を触れないように。良い写真を撮りたい気持ちは分かりますが、シンハ像や象に座ったり、寄り掛かったりしてはいけません。径年数によりもろくなっていますので、あなたのした行為によって壊れてしまうかも知れないからです。
砂ぼこり対策が必要です
カンボジアの乾期(11月~5月)は乾燥がひどく、風に吹かれた土埃や砂をかぶることが多いです。帽子はもちろん、サングラスやマスクを装備すると良いですね。
悪質なトゥクトゥクドライバーに注意
観光ツアーで訪れる際には問題ありませんが、個人で遺跡をまわる場合は移動手段に注意が必要です。トゥクトゥク(三輪自動車タクシー)をチャーターするのが気分ですが、快適に旅行するにはいくつか気をつけたいポイントがあります。 まず、ドライバー選びです。ホテルや旅行会社を通して信頼できるドライバーを手配してもらった方が安心。特に中距離以上の場合は気をつけましょう。
東メボンの場所(Google MAP)
「アンコール・トム」の東に位置する「東バライ」の中央にあります。現在は干上がってしまったために、貯水池の面影はありません。西にある水をたたえた貯水池は「西バライ」です。シェムリアップ・オールドマーケットから車で25分ほど。東楼門から巡るルートが正規ルートです。