プリア・カンとも呼ばれます。
							「聖なる剣」という意味を持つこの寺院は1191年にアンコール・トムを都市として機能させたジャヤヴァルマン7世によって建てられました。
							アンコール・トムの北大門から北東方面へ1.5kmほどいったところにあります。
							
							アンコール・トムを首都とした後もチャンパ軍との戦争は続きましたが、ついにチャンパ軍を降伏させることによって終結します。
							その勝利を記念し、父であるダーラニンドラヴァルマン2世王の菩提寺として建設されたのがプリヤ・カーンです。
							
							10万人もの人が寺院で働いていたという記述があり、寺院と住居が一緒になった大規模施設だったことがうかがえます。
							境内には武具館があり、そこから黄金の聖剣が見つかったことから「聖なる剣」という名前がつきました。
							
							聖なる剣は王権の象徴であり、奉納した剣をもう2度と振るうことがないようにという平和への願いがこめられています。
							
							なお、コンポントム州にある同じ名前の大プリア・カン遺跡は別物です。
							(間違えないように「大」や遺跡のある地名「コンポン・スヴァイ」がついていますので見分ける際の参考にしてください。)
						

								1177年に占領されたアンコールを解放するためにジャヤヴァルマン7世はチャンパ軍討伐に立ち上がります。1181年チャンパ軍との戦に勝利! 見事、アンコールの奪還に成功しました。
								
								しかし、あきらめきれなかったチャンパ軍は1190年に再度戦争をしかけます。ジャヤヴァルマン7世は今回も戦に勝利し、チャンパ軍を降伏させました。
								プリヤ・カーンが建築されたのは1191年のことで、勝利の記念であるとともに父であるダーラニンドラヴァルマン2世王への感謝と敬意をこめた寺院なのです。
								木造ではなく石造で2階建てを作っている点に注目です。まるで古代ギリシャの神殿のような2階建て石造建築物は珍しく、アンコール遺跡の中では他に例がありません。
								
								三重の周壁があり、東西の門から入ると、テラスを経由して回廊を巡らした中央祠堂にたどり着きます。大掛かりな寺院で見所が多い遺跡です。三重の周壁にあるガルーダとナーガが争っている彫像には様々なポーズがあり、違いを探すのも面白いでしょう。
							





							東西どちらからでも入れるプリヤ・カーンの参道にはリンガ(シヴァ神のシンボル)を模した砂岩彫刻が並びます。
							東第一塔門を抜けた先にはテラスがあり、ナーガにまたがったガルーダの欄干が見ものです。
							2番目の周壁にある東第二塔門の裏側にはデヴァター(女神)像が彫られた美しい壁が残されていますが、仏陀のレリーフは後の宗教戦争により剥ぎとられてしまいました。
							
							踊り子のテラスという前柱殿には13人の踊るアプサラ(天女)の繊細なレリーフを見ることができます。
							経蔵を通り、中央祠堂へ進みましょう。中央祠堂にあるストゥーパは後世に持ち込まれたもので、当時のものではありません。
							中央祠堂を西方面に抜けると3つのリンガを祀っていたとされるヨニ(リンガ台)があります。載せていたのは、ヴィシュヌ神、シヴァ神、ブラフマー神のリンガです。
							
							後に起きた宗教戦争により剥ぎとられてしまったレリーフや彫像もありますが、それにも増す美しい彫刻の数々が彩る周壁、中庭の僧房や小堂の壁にもラーマーヤナ(古代インドの叙事詩)の物語が描かれ、当時の碑文も残ります。
							美しく完成されたレリーフや他とは異なる建築様式から、未来を試す王のチャレンジ精神をくみ取ることができるでしょう。
					
                            ツアーの魅力と見所:
								朝日鑑賞から始まり、定番のアンコールワット、アンコールトムなどを中心に大回りコースで訪れるプリアカン、プレループなどを観光します。
								そして、夜には伝統芸能のアプサラダンスを見ながらのビュッフェディナーをお召し上がりいただく盛りだくさんの内容になっています。
							
                            ツアーの魅力と見所:
                            このツアーでは大回りコースの中でも規模の大きい遺跡である、プリアカン、ニャックポアン、タソム、東メボン、プレループを半日で巡ります。
							まず訪れるのは聖なる剣という意味を持つプリア・カン。
							ジャヤヴァルマン七世がチャンパ軍との戦いに勝利した記念に建てられたとされる遺跡です。
							そしてニャックポアンはプリア・カンの貯水池に浮かぶ円形寺院で、その祠堂は絡み合うは2匹のナーガ(大蛇)によって基壇を取り巻かれています。
							
                        
                    | 西暦 | 王名 | 遺跡名 | 
|---|---|---|
| 1181年 〜 1218年  | 
                            ジャヤ ヴァルマン7世 Jayavarman VII  | 
                            
                                 
 
									主な建築物:アンコール・トム、バイヨン、タ・プローム、プリヤ・カーンなど  | 
                        
						・配置のミステリー
							プリヤ・カーンの位置を地図で見ると東西軸の東線上に一直線に並ぶ形で「ニャック・ポアン」と「タ・ソム」が配置されていることが分かります。
							この2つもジャヤヴァルマン7世が構築した建造物で、明らかに綿密な目的をもって計画されました。それぞれの関係性を解き明かすしてみてはいかがでしょうか?
							
							・宗教的な意味
							ジャヤヴァルマン7世の建築物にはヒンドゥ教の神々や教典、神話をモチーフにしたレリーフなどが多数見られますが、王自身は仏教を支持していました。貴族も平民も平等に、死後の世界では同じ存在になる、という考えを徹底したようです。
							当時の職人達が王の気持ちをちゃんと理解できていたかどうかは不明ですが、反映されていると思われるものを見つけることができます。
							王の気持ちを考えながら遺跡を歩くと、それぞれ感慨深いものです。
							仏教を信仰していたのに、ヒンドゥ教の神々がモチーフとなっているのは民の信仰と協調することで支持を得ようという意図があったからだと考えられています。
							
							・ガルーダとナーガ 決着の行方
							ガルーダはヴィシュヌ神が乗る金色の羽をもつ怪鳥です。ナーガは蛇神としてカンボジアでは古くから信仰されていました。
							ガルーダとナーガはライバルとされていますが、プリヤ・カーンの彫像ではガルーダがナーガを捕まえていたり、またがっていたりと圧倒的にガルーダが優勢です。
							
							蛇神ナーガは民を従属させる支配者として例えられることがあります。
							アンコールを占領したチャンパ軍がナーガ、ガルーダはヴィシュヌ神であり民を解放したジャヤヴァルマン7世の化身なのです。
						
                            ジャヤヴァルマン7世
                            ガルーダとナーガはライバル
アンコール遺跡群は足場の悪い遺跡が多いので、軽装が好ましいです。 しかしながら、聖域が残るため服装の配慮が必要な場所もあります。 ここで、服装と持ち物のおさらいをしておきましょう。
									動きやすい服装、履きなれた靴が基本です。
									アンコール・ワット中央祠堂などの聖域とされている場所ではショートパンツや肩を出した服では入れないことになっています。長ズボンにTシャツが好ましいでしょう。
									気温が高く蒸し暑いので、冷却効果のある衣服を活用すると良いですね。
									日差しよけの帽子も必須です。
								
                        
									周囲は緑の濃いジャングルです。虫がたくさんいますので、虫よけスプレーを準備しましょう。
									熱帯モンスーン気候のカンボジアでは急なスコールが予想されます。レインコートがあれば安心。さらに、暗い場所を照らす懐中電灯を携行しておけば便利です。
								
                        
							「アンコール・トム」の北大門から北東に1.5kmほど離れた右手に位置します。
							シェムリアップ・オールドマーケットからは車で25分ほど。近くの「ニャック・ポアン」や「タ・ソム」「東メボン」を巡るルートが良いでしょう。