タ・ネイ遺跡とは
About Ta Nei Remains
アンコール・トムの北東に位置する、仏教寺院です。東バライの西面近くで、タ・ケウの北方向にあります。
12世紀末、アンコールを統治したジャヤーヴァルマン7世が築きました。
塔門や回廊を持つバイヨン様式で建築されており、壁面にはデヴァター(女神)像や連子(れんじ)窓の偽窓があしらわれています。
調査や整備がまだ行き届いていないために崩落が進みますが、手つかずの美しさを感じる遺跡です。
修復の手が入らないため、石材を覆う苔が遺跡全体を緑に彩る、ミステリアスな寺院です。
アンコール遺跡群は数が多く、まだまだ調査や修復が追い付かない状態。
未修復の寺院が密林の中にひっそりと残るのです。
現代、日本の考古学チームがタ・ネイ遺跡保存のため、調査に技術協力しています。
これにより、タ・ネイも他のアンコール遺跡と同じように修復され、きれいな状態で保存されていくのでしょう。
冒険心をかきたてられる素朴な外観を楽しみたいなら、今のうち。
タ・ネイを通る道路は整備されていない悪路のため、訪れる人があまりありません。
ガイドブックにも掲載されていない遺跡を、発掘者の気分で訪れてみてはいかがでしょうか?
タ・ネイの歴史と見所
チャンパ軍に占拠されていたアンコールを解放したジャヤーヴァルマン7世が即位後の12世紀末に建築しました。
ジャヤーヴァルマン7世は度重なる戦で疲弊したアンコール・ワットからアンコール・トムへと首都をうつすことで国を平定させた王です。
巨大な城塞都市の中心寺院であるバイヨン寺院、小規模ながらも塔門や2つの回廊をもつタ・ネイ、中央に祠のある寺院があるニャック・ポアンは北東方面に一直線に並んでいます。
全て同じジャヤーヴァルマン7世の構造物で、何らかの位置的な意図を含み配置されました。
アンコールへ遷都した王ヤショヴァルマン1世が造った東バライのすぐそばにあります。
タ・ネイの見所は未修復のまま残された遺跡外観と、壁面にほどこされた美しいデヴァター像にあります。
タ・ネイの外観は崩壊により歪み、今にもジャングルに埋もれてしまいそう。
塔門側面や第二回廊壁面の、こぢんまりとした上品で美しいデヴァター像は必見です。
連子窓を模した偽窓があしらわれているのは、何のためでしょうか?
回廊の中心に中央祠堂があります。
破風にある躍動感あふれるレリーフは、崩壊が進行中の遺跡だとは思えない迫力です。
テーマには、釈迦族の王子シッダールタが悟りを開き仏陀となる仏教教典が選ばれました。
日本も保存整備に協力しています
ジャヤーヴァルマン7世の構造物
日本の考古学チームも活躍中
他寺院にあるヒンドゥー教叙事詩がテーマとなったものとは異なります。
レリーフには小穴があり、宝石を埋めていた穴なのか、構造上の理由により開けた穴なのか、解明を待ちたいところです。
現在、日本の考古学チームがタ・ネイ遺跡保存整備に協力しています。
その調査により、寺院東門から東バライ方向に参道が伸びていることが分かりました。
タ・ネイの歴史
西暦 | 王名 | 遺跡名 |
---|---|---|
1181年 〜 1218年 |
ジャヤーヴァルマン7世 Jayavarman VII |
主な建築物:バイヨン寺院、タ・プローム、プリヤ・カーン、タ・ネイなど |
タ・ネイ遺跡の見学ワンポイントアドバイス
まだ詳しく解明されていない遺跡です。このような遺跡がアンコール地帯には多くあり、見学も可能。修復前のタ・ネイをぜひ見ておいてください。 破風に残るレリーフをぜひ写真におさめておきたいところです。他遺跡のヒンドゥー神話をモチーフとしたものとは違い、仏教色が濃くなりました。
雰囲気のある遺跡は必見
日本の考古学チームが調査中
日本の考古学チームが調査中です。新たな発見として東門から東バライ方面に参道があることが分かっています。また、東バライ土手上には十字形のテラスがあったようです。実際に行って、関連性を把握しておきたいですね。
バイヨン寺院、勝利の門、タ・ネイ、ニャック・ポアンは北東方向に一直線に並びます。
建築主は全てジャヤーヴァルマン7世です。何らかの意図をもって、配置されたことが想定できます。
タ・ネイ遺跡の見学の注意点
舗装されていないので、雨季には水がたまり、進行が困難!
タ・ネイがなぜ、未修復のままかと言うと、ここに通じる道が整備されていないからです。
タ・ケウなどを通る主要道路からの、入り組んだ小道の先にあります。
ガイドブックでの掲載がないので、訪れる観光客が少ないです。
一人での訪問は避け、信用できるガイドやドライバーの力を借りましょう。
遺跡全体は未補修のために、崩壊が進行中です。
周囲には石材や崩落した建物が落ちています。
足場は悪く、上ばかり見ていると石につまずき転倒ということがあるので注意してください。
建物内部の崩壊を防ぐための処置がおこなわれておりません。中に入る時は倒壊に気をつけてください。
未発掘エリアでは自己責任をともないます。石材や壁には極力触らないようにしましょう。
タ・ネイの場所(Google MAP)
アンコール・トムの北東に位置します。タ・ケウからは北方面に1.5kmほど。
悪路のため車かトゥクトゥクで向かうのが良いでしょう。バイヨン寺院からは車で10分ほどの距離。シェムリアップ国際空港からは車で20分ほど。
トゥクトゥクの場合は所要時間がもう少し必要です。